PREMIUM CUBE G 渋谷神南 森田恭通×川田秀樹

北には代々木公園と明治神宮の杜、そして南には世界有数の繁華街が広がる渋谷神南一丁目。そのスタイリッシュでアーバンライフの歴史が息づく場所に誕生した[PREMIUM CUBE G 渋谷神南]。デザイナー 森田恭通さん率いるGLAMOROUS co.,ltd.とのコラボレーションによって生まれ、その頭文字

どんなプロジェクトでも、デザインをするまでのストーリーは絶対に必要

川田
森田さんとの対談は、2年前の「PREMIUM CUBE G 四谷左門町」以来ですが、最近はどのようなデザインのプロジェクトを進められているのでしょうか?
森田
現在は世界15の都市でいろいろなプロジェクトが同時進行しています。アメリカ、アジア、ヨーロッパ、ロシアそして中東で、ホテルやレストラン、オフィス、クラブハウス、病院など。どれに偏るということもなく幅広く手がけています。
川田
森田さんがリニューアルされた伊勢丹新宿本店には何度もうかがいましたが、すばらしいですね。
森田
売上はすごく伸びているみたいです。実は伊勢丹のプロジェクトはまだ続いていまして、この3月にベビー・子供服売場とインテリアの2フロアがオープンする予定です。
川田
森田さんのデザインと子供服ってあまり結びつかないように思いますが。
森田
よく皆さんにそう言われますが、親は子供にセンスの良い子に育ってもらいたいと思っているはずなので、まず親が行きたくなるようなお店にしています。かなり大人目線の売場ですが、子供が自分で選べるようなエリアも用意しています。子供が自分自身でセンスを作っていけるようにと。
そしてインテリアの方では、伊勢丹には「ファッション・ミュージアム」という縦軸のコンセプトがあるので、インテリアもファッションと考えて、そういった意味で今までの売場とは全く違うものになります。
川田
恵比寿ガーデンプレイスで、期間限定で公開したシャンデリアもとても素敵ですね。
森田
バカラ社の創設250周年を記念したシャンデリアでしたが、世界一の大きさを目指したわけではないのですが、結果としてバカラ史上最大になってしまいました。写真を撮る人のことを考えると、せっかく撮るのだったら全体を撮りたいと思いますよね。それで、ケースも大きくなってしまったんですが(笑)。
ただ、そのことによってハッピーにつながれば良いわけで、そういったデザインをする前段階でのストーリー、「物語」が大切だと思いますね。

人を魅了する”オリジナリティ”を追求するのがデザインの原点

川田
そして今回、ファッションなどの最先端エリアでもある渋谷神南のマンションを、森田さんにお願いしたわけですが。
森田
建築やインテリア、プロダクトでも同じだと思いますが、みんながハッピーになることが大切だと思うんですね。マンションなら、住む人が「この建物に住んでいるんだ」というプライドや嬉しさがあり、オーナーなら「こういうマンションを持ちたい」と思ってもらえるような。
そしてそれが「人が魅了されること」すなわち『オリジナリティ』につながってくると思います。
川田
「PREMIUM CUBE G 渋谷神南」では、建物の外観部分とエントランスロビーをデザインしていただきましたが、今回のコンセプトは『レイヤー(積層)』ということでしたね。
森田
この場所はファッションもそうですが、スポーツや音楽など、いろいろなカルチャーが集中していて、とてもクリエイティブなエリアだと思います。つまり、さまざまな歴史の重なりがある場所でもあるので、それを『レイヤー』として表現するということからデザインをスタートさせました。
そしてモノトーンのグラデーションを使うことによって、大胆かつ繊細なイメージを追求したカラーリングを採用しました。建物全体は横の『レイヤー』、エントランスは縦の『レイヤー』で中につながって行くというデザインにしています。
川田
外観のアースカラー・タイルは、ラインをとても複雑に配していますね。通常、弊社のデザインは白と黒とかの2色で真逆の色を使う場合が多いのですが、今回の色遣いはやはりグラマラスさんならではのものだと思います。実はこれ、工事する方は大変なんですよ。同じ色が並んでいるのは良いのですが、少しずつずらしていくというのが。
森田
一見ランダムに見えますが、これも計算の上で、実はいくつかの基本となるパターンを使い分けています。向きをかえたりして、微妙なグラデーションが出るようにしているんです。

さらに使う人のことを考えた”タイムレス”という概念をプラスする

川田
エントランスの方は、壁から床までこちらも3色の御影石を使われていますね。
森田
御影石は劣化が少ないので、その意味でも『タイムレス』にふさわしい材料だと思っています。さらに御影石とともに、鏡面のステンレスを使うことによってクールなイメージを追及しています。間接照明によって昼と夜でかなりイメージが変わってくると思います。
もちろん『タイムレス』は内観だけでなく、外観においても同じで、時間を経ても変わらず更に魅力が増すことを意識しています。こういった建物を作る場合、デザイナーの責任として、長い年月を経ても「飽きることなく愛され続ける」ことが重要だと思っているからです。
川田
派手な色は使っていないのにインパクトがあるデザインですね。
森田
基本的にはシンプルなデザインなのですが、やはり購入者の方とお住まいになる方が、クリエイティブなイメージを持っていただけるように考えてあります。
川田
普通のマンションを作る会社はたくさんありますが、我々としては購入者にも入居者にも「選ばれる」マンションを作りたいということから、森田さんにお願いしたわけですが、付加価値をつけて長く住んでもらえるということが、我々作る側の責任だと思っています。
森田
今回でデザインしていただくのは3棟目になるのですが、それぞれの地域によってデザインは変えています。これはとても大切なことで、エリアによって地域の特性が当然あるので、それをちゃんと吸収してからイメージを描いていきます。その結果、そのマンションがこの地区の新しいランドマークになってくれればと思っています。
川田
ところで、4月に弊社のオフィスを移転する計画がありそのデザインも森田さんにお願いしています。そのリニューアルも楽しみです。たぶんガラッとイメージが変わると思いますので。
森田
最近、「なぜ、こんなのなかったのかな?」といったプロジェクトが多くなっています。(笑)
例えば、京都にいくつか旅館を作っていますが、「ホテルと旅館の中間のようなものがあったらいいな」「なぜなかったんだろう」から始まって、経営者の方々も含めて、自分たちが本当に行きたくなる場所にしたいと思っています。
川田
完成したら、ぜひ訪れてみたいですね。
これからのますますのご活躍、個人的にも楽しみにしています。本日は、どうもありがとうございました。
森田
ありがとうございました。
GLAMOROUS CO.,LTD
デザイナー 森田 恭通

1967年大阪生まれ。GLAMOROUS co.,ltd.代表。
2001年の香港プロジェクトを皮切りに、ニューヨーク、ロンドン、上海など海外へも活躍の場を広げ、インテリアに限らず、グラフィックやプロダクトといった幅広い創作活動を行っている。
2013年「伊勢丹新宿本店本館 再開発プロジェクト」が完成。
同年、自身初の物件集「GLAMOROUS PHILOSOPHY NO.1」がパルコ出版より発売。
Iconic Awards 2014、A' Design Award and Competition 2014、The international Hotel and Property Awards 2011、China Best Design Hotels Award Best Popular Designer、THE LONDON LIFESTYLE AWARDS 2010、The Andrew Martin Interior Designers of the Year Awardsなど、受賞歴多数。
http://glamorous.co.jp/

GLAMOROUS CO.,LTD デザイナー 森田 恭通

株式会社ヴェリタス・インベストメント
代表取締役 川田 秀樹

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、不動産会社に営業職として入社。25歳で管理職に抜擢、以後マネジメント業務に携わる。
前職では企業のナンバー2として、株式上場に携わる。
2008年に株式会社ヴェリタス・インベストメントを設立し、代表取締役に就任。
「PREMIUM CUBE」シリーズを中心にワンルームマンションの企画・開発・販売を行っている。

川田秀樹 著
『不動産投資は入居率100%のデザイナーズマンションにしなさい!』
お求めは大手書店・インターネット書店等でどうぞ。

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